人気ブログランキング | 話題のタグを見る
Goodday, Everyday
パワー、パワーというけれど?PART4
 前回のスティックの移動スピードの話、わかっていただいただろうか?
要するに基本練習としての「フルストローク」を色々なテンポで徹底的にやればスピードがついてパワーも増し、サウンドも良くなるという寸法である。
何か質問等あればメールください。

 さて、「ドラムに対する絶対的な力の加わり方」である。
平たく言えば、ドラムをどれくらいの力加減で叩けばいいのかと言う事だ。
ボンゾの話では70年代の今から言えばまあ「きゃしゃ」なドラムを非常に効率良く鳴らしていた事になる。ツエッペリンのライヴ もしくはライヴヴィデオを見た人はわかると思うが、ボンゾのドラムソロの中で素手でドラムを叩きまくるシーンがある。ほとんどスティックと変わらないサウンドである。化け物である。スティックだけでなくそもそも手と腕のスピードが違うのだ。見た事ない人は絶対一度は見た方が良い。

 前回言った「下向き」の「振り下ろす」力でこの「素手ソロ」をやると一発で指の関節等痛めてしまうだろう。あれはヒットの瞬間はそれ程強くはドラムのヘッドもしくはリムには当たってはいない。
やはり「引くスピード」なのだ。

 で、本題に入ると、ドラムそのものが持っている「衝撃」を「サウンド」に変えるキャパシティー(能力)というものは実はそれ程高くない。極端な話、素人が太めのスティックでそれこそ渾身の力を込めた一撃でも「クリップ」してしまう。

 クリップというのはサウンドが飽和してしまって本来持っている「鳴り」が殺されてしまっている状態をいう。素人の渾身の力とはどの位かと言うと例えばゲ−センにあるパンチ力測定器で思いきり殴る時のパワーを思い出して欲しい。
早い話、ドラムを鳴らすのにみんなが考えている程強い力はいらないのだ。何度もいうが「強さ」より「速さ」なのだ。だから、アマチュアのライヴでよく見かけるのは必要以上に強く叩きすぎて音がクリップしてしまっていたり、クリップしないまでもタイコ本来の鳴りを止めてしまっているケースが結構あったりする。 それともう一つ。これはドラム教室等で(特に音楽学校系)習っている人に多いのだが 「きれいな音」を意識するあまり逆にタイコを鳴らせていない人がよくいる。脱力とかきれいなフォームを目指すのは大変いい事だが、本当のショットを覚えるためにはリラックスばかりではダメなのである。ある程度「奥歯食いしばり、もしくは噛み割り」状態も経験しないと本当のショットというものは見えてこないから厄介である。

 以前、「手数王」菅沼孝三氏がどこかに書いていたのだが「ドラムをタイミングとかコツのようなもので鳴らすだけでは通用しない世界がある。マーシャル、ハイワット山積みのバンドの中でやってごらん」要約するとこのような事だったように思う。実際その通りである。じゃあボンゾはどうなんだ、彼もマーシャル山積みの中で叩いてるじゃないか、という声がいま聞こえた。だから彼は凄いのだ。念のために言っておくが当然菅沼氏もこういう環境のなかで楽勝でプレイしている。(私ははっきり言って苦手です)彼の言いたい事はそういう中でプレイすると、ややもすると「自分本来のフォームやダイナミクスを見失う危険性がある」と言う事なのだ。これはドラマーにとって非常に重要な事である。

 つまり「絶対的な力の加わり方」、回りの音に左右されずに自分のドラムに対して適切なショットを常に心掛ける、これがドラムという楽器を鳴らすコツだと思う。これはヴォ−カリストの事を考えると良く分かる。回りの音がでかいから自分もがなってしまったら 一発でのどがやられる。ドラムもそういう意味で生音には限界があるのである。

by folio-music | 2004-09-18 18:23 | パワーパワーというけれど


<< Goodday,1970→1957 パワー、パワーというけれど?P... >>